ティピコオリエンタル

そのあと、ロストリバーデルタの、ユカタンベースキャンプグリルというレストランへ移動。この期間中、そのレストランではティピコオリエンタルというキューバのソンを演奏するアコースティックバンド(画像)がライブをやっており、それを見るためだ。移動中、花火の時間になって、花火があがった。思わず立ち止まってじーっと見る。花火はひとりで見てもきれいだな。おそうじ係の人が、直立不動で花火に対峙していた。毎日こんな花火を見られるバイトもあるんだなあ。と思ったらちょっとうらやましい。
さて、ユカタンベースキャンプグリル。インディージョーンズのライドの隣りに、こんなレストランがあったのか。知らなかった。着いてみるとあまり人がいない。スモークチキンサラダと、期間限定で売っているメキシコビール(テカテ)を買って席につく。人混みにまぎれてブラヴィッシーモを見てたときは忘れてたけど、やっぱひとりってなんか気まずいな。と思いながらビールをあおる。でもね、なにげに楽しみにしてたのよ、ティピコオリエンタル。ビール飲んでるうちに開演時間になって、レストラン脇に設けられたステージに、メンバーがやってきた。それも私のすぐをばを通って。ティピコオリエンタルは結成40年。平均年齢65歳以上。ドラマティックディズニーシー期間中、毎日4回、夜になるとこのレストランで演奏している。いわゆる箱バンですね。2カ月近く日本にいて、毎日ここで演奏して。どんな気持ちなのかな?とか思う。嵐の多い国だなあって思ったに違いない。
演奏が始まると、おお、おおおおー。いきなり立って踊り出すカップルが3組。ひとりで踊るおじさんがひとり。ひょっとして、キューバ音楽好きの間ではすごい噂になってたんだろうか?すごい楽しい。演奏も歌もとてもきれいで、ひとりでいることなんか忘れちゃうくらい楽しい。踊ってる人たち以外は、特にこのバンドが目当てで来た人たちじゃないだろうに、食事をしてる人たちもみんな楽しそう。4曲目くらいで、リーダーのおじいさんが、マラカスをならしつつ踊りながら客席におりてきて、みんなとからむ。ふふっ。演奏はほんの20分で4,5曲だったけれど、すごくよかった。退場するときまた私の脇を通って帰っていったんだけど、全おじいさんとハイタッチした。キューバ人と初めてのハイタッチ!いいなー箱バン。こんなバンドが演奏してくれるクラブがあったら毎週通うのに。村上龍も、長崎ハウステンボスキューバのバンドを呼んだりしてるらしいけど。長崎は遠いよなあ。
なんだかひとりで来てることなんかすっかり忘れて(ひとりで踊ってたおじさんがいたのに勇気づけられたせいかもしれないけれど)ニコニコ笑いながら帰った。やってしまったよ、ひとりディズニーシー。ひとり吉野屋、ひとり和民、ひとり銭湯・・・。女子にとって難関と言われる数々のハードルをクリアしてきた自分ではあるが、世の中から怖いものが、またひとつ減ってしまった。えーと、これいちおう仕事だからね?