『神様のボート』by江國香織

先日、図書館でぱらぱらとめくってみたら、たくさん項目があったので短編集かと思って借りたら、長編だった。ちょっと失敗(^^;「ぜったいにキミを探して会いにいくよ」と言って去っていった男のコトバを信じて、男との再会を胸に放浪する女とその娘。いやぁ…信じるったって…そこまで待つのはホラーだわよ。作者自身もあとがきで“これは狂気の物語です”って書いてるけど、恐すぎるっすよ。かつてどんなに愛し合った人だとしても、16年間一度も音信がなかったら(私だったら)相手に会う勇気はないなぁ(ババァになった自分を見られたくないしな)。
「お母さんは現実を生きてないよ」そう冷たく言い放つ娘の存在と、その微妙な心理の描写がうまくて、すべてを救ってたような気がする。それにしても、江国さんの描く女性は、そんな稼いでなさそうなのに生活苦とは無縁。まるで霞を食って生きてる天女のようだ。角田さんの描く女性の生活っぷりと比べてみると、対照的でおもしろいけど…天女には感情移入しにくいです。このラストを素直に受け入れられないのは、もはや“恋”に夢を持てない自分のせいか。いや、でももしこれが映画だったとして、これがラストだったら…うーむ(^^;
神様のボート