空に帰る人

相方が東京に出てきてから“東京のお父さん”と呼んでもいいくらい慕い、お世話になったFさんが亡くなり、そのお通夜に参列した。Fさんは、相方のお父さんの軍隊時代の先輩であり、真珠湾攻撃にも出撃した方。終戦まぎわ、“早く特攻させてくれ”と志願する若き日のお父さんを“まあそう生き急ぐな”となだめた人でもある。結局お父さんは特攻せぬままに終戦を迎え、相方という子孫を残してくれた。そういう意味では私の人生にも大きな影響を与えた人だ。
明日は折しも太平洋戦争開戦記念日。その日、Fさんは文字通り空に帰って行く。
会葬御礼のハガキにはこう記してあった。

…12月8日は折しも太平洋戦争開戦にて本人がハワイ真珠湾へ出撃した日にあたります。
激しい戦場の中を生き抜いた後にこの世から戦争のなくなる事を
心から願い続けてきた事を申し添えさせていただきたいと存じます。

どうぞ安らかにお眠りください。合掌。