国家の罠

“おもしろいぞ”と言って上司が貸してくれた本。
鈴木ムネオを逮捕するために国策捜査で逮捕された外務省職員が、500日以上におよんだ勾留期間中の取り調べを振り返った回想録。東京でこうやって暮らしていると、北方領土とかすごく遠い出来事で、まぁ返って来ないんじゃないかなーって漠然と思ってたりするんだけれど、筆者は、まさに北方領土返還・日露平和条約締結のために人生を賭けて働いていたわけで、その働きぶり、情報屋としてのアティテュードにまず軽くビックリ。次に、筆者のプロの情報屋としての意志の強さ、つねに状況を冷静に見つめようとする人間としての強さに驚く。弁護人以外の人間との接見を禁じられたなかで、毎日対峙する検察官との駆け引き、不思議な連帯感を持ちつつ、相手のペースに巻き込まれまいとする心理の描写には男どうしのドラマがあって、並みの小説よりも面白かった。読み終わったあと、鈴木ムネオはけっこういいヤツなんじゃないか?また当選してくれてもいいカモナーって思っちゃうのは、筆者の“罠”ですかね?(^^;
国策捜査でつかまる人は“時代のけじめ”をつけるためにたまたま引っ張られた運の悪い人間…という分析が印象的だった。
あとね、独房の食事って意外とおいしそう。お正月の料理とか、かなり食べてみたいです(^^;。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて